僕の亡くなった祖父も太平洋戦争の時に従軍していたらしいけど、おそらく最年少に近い世代。それでも、祖父とお風呂に入ると、軍歌を歌い、戦争のことを語られた。戦争を賛美していたわけではないけど、インパクトがでかすぎる経験だったんだと思う。幼かったので、空襲怖いなぁくらいの感想だったけど、その経験は今になって咀嚼すると色々感じることもある。
そんな祖父も数年前に亡くなった。病気で亡くなりはしたけど、年齢的には長生きしたほうだったと思う。大人になって、もう少し戦争の話を聞ければと思うけど、身近な語り部はもういない。
夏っぽいシリーズで爽やかな青春ものも良いけど、終戦日付近で戦争映画を見て、少し物思いにふけるのも悪くない。
根幹のネタバレはしていないつもりですが(タイトルやサムネイル、公式サイトのイントロダクションで想像できる程度)、一応行間あけて本文。
特攻隊員に関する物語
特攻隊員に関する作品です。なので、戦争で大勢の人がドンパチしているようなものでもないし、前線で云々かんぬんというものでもありません。戦争映画でそういうものを求めるのであれば、違う作品を観ましょう。
導入はこの時代と合っている
昭和中期生まれの人ならまだしも(高度経済成長とはいえ、親が戦争を直に体験した世代だったり、まだ名残はあったのかもしれないと予想)、僕の世代でも戦争の話は教科書、または人からの伝え聞き。そう考えると、戦争映画で当時の描写から入るのはハードルが高いように思います。もちろん、そういうのでも十分引き込む作品はたくさんあると思います。が、多くの人には戦争をイメージするに、現代とのつながりがあったほうが易しいとも思います。
この映画は、現代の女子高生が主軸となって、戦争体験をしていく物語なので、そういった意味では、わかりやすい導入と思います。
ただ、史実を基にした作品と思うと×
しかし、きっかけはタイムスリップ。これは戦争映画と見ようとした民にとっては、ぽかんとしてしまう要素。なので、戦争を知るための映画として見るのが吉。戦争を美化するわけでもなく、でも日本民族の綺麗なところを描いてくれてる。そこは日本人として嬉しい。
タイムスリップと恋愛要素の掛け合わせも不純物でしかない
戦争、特に特攻隊の生き様・・・いや、死に様はを伝える/表現する映画として見てました。が、特攻隊の人たちの死生観に対し、「タイムスリップして恋愛感情のようなものが芽生える」という要素が違和感なんです。溶け込みきれていない不純物みたいな。
現代人の価値観を無責任に持ち込んで、かき乱している…と思えなくもないのです。ファンタジー要素としてそこを捉えて観るのであれば気にならないかもしれません。
総括
ファンタジー要素はありつつも特攻隊となった英霊に対し敬う意味を込めた映画として見れるのであれば〇。史実に忠実な戦争映画としては×(歴史をちゃんと勉強してないからそう思うのかもしれませんが)。そんな映画
その他
- 途中で出てきた子役の演技、すごかった。ドラマとかでばえない演技と思うけど、映画や舞台では良い演技しそう。もし、あの子が演技の道に行くのなら、そっち方面で活躍してほしい。(昨今のTVドラマに良い印象もっていない民の感想)
- 貧乏設定なのに3眼カメラのスマホ使ってるのは、製作側の落ち度。戦時のシーンの小道具もきれいすぎる。そういうところに拘っても良かったと思う。