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趣味中心の生活がしたい30代かつての少年。アニメ・ゲームが好き。

【感想】【後半ネタバレ注意】アルドノア・ゼロ(Re+)

アルドノア・ゼロ

 

 

アルドノア・ゼロTVシリーズ総集編に後日談(追加エピソード)「雨の断章」を加え劇場用のアルドノア・ゼロ(Re+)。最近、TVアニメを一気見していて、全体的に好きな作品だったので観てきました。

 

 

まず、ネタバレなしの感想。

 

映画の前半は総集編ですが、TVアニメを1hちょっとで伝えるようにしましたというものではなく、BOX出したから記念に作ったよ的なノリに感じました。

ストーリーの大まかな流れは何となく把握できるものの、心理描写のようなものは結構省かれており、どちらかというと映像のカッコよさを意識したような総集編です。主人公格以外のキャラの描写も魅力的なアニメだったと思うので、アニメの良さがかなり削がれています。TVアニメを把握していれば脳内補完できるので、ダイジェストとして機能するけど、初見でこれは・・・思います。

一方で、主人公格の一人であるスレインに関しては重点的にまとめられています。これは、追加エピソードの「雨の断章」がスレイン中心のエピソードのためでしょうね。

 

なので、TVアニメ視聴済みで追加エピソードをメインの目的にしてる人には◎。初見の人には×。そんな総集編パートです。

 

そして、追加エピソード「雨の断章」は、しっかりTVアニメ最終話の補完になっています。もう少し詳しい感想は、ネタバレ絡むので後述しますが、最終回に好感を持っている人にも靄がある人にも、どちらに対しても良い位置づけになる追加エピソードになると思います。

 

 


これ以降はTV版含めた感想。ネタバレ大ありなのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TVアニメの大枠の振り返り

オーバーテクノロジーを持った火星と地球の戦争が休戦状態にあるなか、親善大使である皇女アセイラムがテロ(に見せかけた暗殺)にあい、生死不明に。生きていたところを主人公たちに保護され、主人公である伊奈帆たちは火星からの襲撃に対応しながら、和平に持ち込むべく皇女をサポートする。というのが大まかなあらすじです。

TVアニメは2クールありますが、通して(少年少女な)主人公達が戦争・軍の一部として巻き込まれつつ、和平のために火星の皇女を助けるための行動をとるというフレーム。

エンディングでは和平成立。「皇女としての義務」と「和平を望む皇女」というポリシーを軸に、理想過ぎない落としどころではあったと思う。

 

TVアニメは前半(1クール目)偏重の展開ではあった作品だと思います。

前半は、悲しい出来事(人の死)も含めて、感情揺さぶる展開が多いのでドラマとして面白いし、地球側の兵器がすごい劣勢のなかで活路を切り開いていく展開も心躍りました。

後半は、主人公が前半の経験やとある能力通して強くなり過ぎているので、戦闘シーンはカッコ良いものの、ロボットバトルのカッコよさ偏重。展開も、後半最序盤で2クール通した「大きな転(起承転結の)」を仕掛けた結果、残りはエンディングのための展開づくりに徹しているようで淡々としている印象。

なので、TV版をリアルに見ていた人にとっては後半は雑に見えたかもしれません。僕は一気見したので、そういうのは感じなかったけど。

 

もう一人の主人公であるスレインについて

ここまでは主人公の伊奈帆軸に書きましたが、もう一人火星側の主人公ともいうべきスレインがいます。スレインはアセイラムに助けられたことをきっかけに彼女を慕っており、一貫して彼女のための行動をとります。しかし、前半は「アセイラムの救出」であったのが、後半は「アセイラムのために侵略する」に変わっています。これは真っ当な和平に希望が見えなくなった結果、戦争の後の平和という考えに至ったものですが、何にせよ彼は戦争を先導する側になります。

その結果、エンディングではアセイラムの願いもあり命は助けられたものの、戦犯として暗い牢屋の中です。

ここが中途半端なポイント。慕うアセイラムを助けるどころか裏切る形に最終的はなり、かつ戦争の主導者という立場においても多くの犠牲者を出している。なぜ自分はのうのうと生きているんだ?と思う事でしょう。生きてることが罰のようなものです。

しかし、アセイラムも伊奈帆も、戦犯としての罰は与えても、スレインに精神的な救いのない罰を与えたいわけではありません。スレインを助けた理由はアセイラムが助けたいと願ったわけですが、その理由は不幸の連鎖化から解き放ちたいがため。その願いは伊奈帆も知っているはず。誰もスレインに救いのない罰を求めていないのに、精神的な生殺し状態で終わるんです。ここが靄が残るポイント。

 

そして「雨の断章」

雨の断章では、スレインが伊奈帆の対話を通して、生きていく意味を考え始めるようになります。TVアニメのラストでは、「生きる意味がないし、殺してくれ」だったのが「生きる意味を考えてみよう」に変化していくわけです。

TVアニメラストでは靄が残っていたポイントが、スレインにとって救いのあるものに補完されています。

 

「雨の断章」では、こんな内容を隠喩的な手法を使って表現しています。ただ、そうなんだろうな・・・という直感であって、どこがどうって言うのはまだ分かりません。なので、一回見ただけだと唐突感を感じてしまう部分も正直ありました。何回か見れて、その隠喩的な表現を咀嚼できた時、唐突感を拭えるかもしれません。が、それはBlu-Rayでたあとのお楽しみにしておきます。