趣味ログ

趣味中心の生活がしたい30代かつての少年。アニメ・ゲームが好き。

【感想】ステーキを下町で ---食べ○グレビューの上位版

ステーキを下町で (文春文庫)

 

最近出張が多い。特に暑い時期は移動時間でどっと疲れるので出張が好きなわけではないけど、いつもと違う街で食事をとれるというのは悪くない。

食事というのは大多数の人にとっての癒しであると思うし、特に出先での食事は娯楽の側面も強い。金をかければきりは無いけど、そんなにかけなくてもワクワクする。孤独のグルメの言葉を借りるならば、(孤高の行為でなくても)食は人類平等に与えられた癒しなのだ。

そんな食を題材にした作品は、面白いかどうかは読んでからしかわからないけど、その題材だけで惹かれてしまう。とあるブログで紹介されてた本作も、食に関するというだけで、手に取っていた。

 

 

なるほど、これはグルメサイトのレビューの上位版だ

グルメ情報を、郷土史や人情含めて深掘りしている紀行。

既視感が少しあったけど、食べログかなんかの口コミに少し似ていて、だから既視感を覚えたんだ。

食べログの口コミを日記帳みたいに書く人は結構いる。「○○の帰り道、前々から気になっていた△△が珍しく空いていたので、寄ってみた。」みたいな文章から始まり、食べたものの感想なんかを書いている・・・感じの文章。グルメパートの前に、日記みたいな文章がある感じだ。

そういう所で、この本も口コミ文に似ていると感じたんだと思う。でも、もちろんこの本はプロの文章家が書いたもの。素人が書いた、グルメ情報のお膳立てにならない、単なる日記ではない。取材や経験からまとめられたであろう郷土史・その店や地域・人々の事情が、グルメ情報のお膳立てとしてしっかり活きている。そして、そもそもプロの文章家、その「お膳立て」が紀行文として読みごたえもある。適当な口上として書かれているわけではない、という点で上位版なんです。

 

テンポの良い短編集的な読み方も◎

各テーマごと短編小説よりも短いくらいの長さのなかでよくまとまっており、ダラダラとした表現もなく、各テーマごと独立してテンポよく読める。僕は寝る前に電子機器に触れるのを避けるために、寝る前読書をするのだけれども、内容が飯テロという要素を除けば、寝る前読書なんかにもよさそう(熱くならず、明区切りが明確で、さらさら読める本が個人的に寝る前読書の本の条件)。

 

「食」を軸に、その背景に向き合った本

日常系でもなく、少年漫画ではないので当たり前ですがバトル要素も無い。とりあえず「食」をテーマにしておけば売れるだろう的なものでもない。「食」とその背景にしっかり向き合っている紀行・エッセイ。食、もしくはそれを目的とした旅に思いを馳せるのに、良いかもしれない。